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第1回:「はじめまして」

第1回:「はじめまして」

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皆様は、劇場での歌舞伎の観劇経験はございますか?「歌舞伎はテレビでだけ」でしょうか?それではもったいない。是非、劇場で生の歌舞伎をご覧頂き実際の「きこえ」で楽しんでいただきたいです。

歌舞伎は江戸の風合いを色濃く残しており、「難しそう」との先入観を抱かれがちです。事実、言葉も生活習慣も今のものとは違いますし、侍〔サムラ イ〕社会の常識など現代人には分からないものです。しかし、心配はご無用です。劇場は詳しい解説を付けたプログラムを用意し、「きこえ」をより楽しめるイヤホン解説の貸し出しも行っております。補聴器と同様に、目で見るだけではなく、耳で多くの情報を得る事は、理解度が一気に高まるとお約束いたします。観劇ベテランのお客様方も最初は初心者。ですから皆さまもきっとこうして「観客力」をつけられたはずです。

歌舞伎の劇場では、他の演劇とは違った「きこえ」がお楽しみ頂けます。代表的な例としては客席からきこえる、「大向こうのかけ声」でしょう。

江戸時代、役者の家々には屋号がついていて、観客はひいきの役者の屋号を叫ぶ事で、支持の気持ちを表しました。その習慣は今も健在で、役者が舞台に登場した際や演技の途中で、客席から声がかかります。初めてご観劇の方は、「誰が怒っているのだろう」と驚かれますが、屋号を叫ぶのは応援のしるしなのです。「大向こう」と呼ばれる「叫ぶ人達」は、歌舞伎のチアリーダーという訳でございます。

お芝居の進行中、「成田屋!」「松嶋屋!」といったかけ声が低く鋭く響く度、胸がすく想いがするのは、役者だけでなく、ご見物のお客様も同様であると察します。観客のかけ声が舞台の演出ともなる「大向こう」は劇場ならではの「きこえ」の楽しみです。

歌舞伎の美が織りなす非日常の世界は、類い稀れなものがございます。皆様、劇場へお運びになり是非ご自身の目と「きこえ」で体験なさってください。ご案内は尾上松也でした。

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