ヘッドフォン難聴

ヘッドフォンやイヤフォンで長時間大音量の音楽を聴くことで起こるヘッドフォン難聴は、特に若い世代で大きな問題になりつつあります。

ヘッドフォン難聴の現状

WHO(世界保健機構)の発表では、音楽プレイヤーやスマートフォンを大音量で使用したり、クラブやライブイベントなどで大音量にさらされることにより、世界で11億人もの若者(12~35歳)が難聴のリスクを背負っていると警鐘を鳴らしています。
現在、全世界で4 億 6600 万人の人々が日常生活に支障をきたすほどの聴覚障碍を抱えており、そのうち 3400 万人が子どもです。また年間約8500億ドル(日本円で約80兆円)もの経済損失が生じているとのことです。さらに世界で11億人もの若者(12~35歳)が難聴のリスクにならされており、2050年には9億人もの方々が聴覚障碍になる可能性があると発表されました。若者の難聴の60%は予防可能と発表されています。他人事とは思わず、自身や家族の問題として真剣にとらえるべき社会問題と考えます。

ヘッドフォン難聴の原因

耳から入った音は、内耳の蝸牛(かぎゅう)という器官にある「有毛細胞」という細胞で振動から電気信号に変換され、脳に伝わることで聞こえるようになります。
しかし、自動車の騒音程度である85dB(デシベル)以上の音を聞く場合、音の大きさと聞いている時間に比例して、有毛細胞が傷つき、壊れてしまいます。有毛細胞が壊れると、音を感じ取りにくくなり、難聴を引き起こします。WHOでは、80dBで1週間当たり40時間以上、98dBで1週間当たり75分以上聞き続けると難聴の危険があるとしています。音の目安ですが、コンサート会場が110dB、地下鉄車内の騒音が100dB程度です。電車の中で周囲の騒音を気にせずヘッドフォンやイヤフォンで音楽を楽しんでいるとすれば、その音量は100dBを超えている可能性があります。
また、特にヘッドフォンやイヤフォンは音源が鼓膜に近いので、音(特に高音)が減衰される割合が少ないことも耳に負担をかける大きな要因となっています。

予防する方法

ヘッドフォン難聴や、将来の難聴リスクから耳を守るためには、何より「大音量」にさらされる機会を減らすことが大切です。WHO(世界保健機構)では、ヘッドフォンやイヤフォンで音楽を聞くときの注意点として、以下を推奨しています。

  • 音量を下げたり、連続して聞かないように休憩をはさんだりする
  • 使用する時間を1日1時間未満にする
  • 周囲の騒音を低減する「ノイズキャンセリング機能」のついたヘッドフォンやイヤフォンを選ぶ

リスクがないとされているヘッドフォン、イヤフォンの適正音量は60dB。話しかけられても聞こえる程度の音量です。最初は物足りないかもしれませんが、耳を守るためにも少しずつ慣れることが必要です。
ヘッドフォン難聴はじわじわと進行し、少しずつ両方の耳の聞こえが悪くなっていくため、初期では難聴を自覚しにくいそうです。また、重症化すると完治が難しいため、耳に少しでも異常を感じたらすぐに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。


[音圧と音圧レベル]

ヘッドフォン難聴の危険度を確認

ヘッドフォン難聴について心配な方は、セルフチェックをしてみてはいかがでしょうか?
以下に紹介するのはeo健康サイトのチェックシートです。

  1. ヘッドホンやイヤホンで音楽を聞くときは、話しかけられても気付かないくらいの音量で聴いている
  2. 1日1時間以上、連続でヘッドホンやイヤホンを使っている
  3. ボリューム調節をしないまま、ヘッドホンやイヤホンを耳に当てて、突然大音量を聞き驚いたことがある
  4. 人から言われたことを何度も聞き返すことがある。聞き間違いが多いと感じる
  5. 右耳と左耳で聞こえが違うと感じることがある
  6. 耳が詰まったような感じがすることがある
  7. ヘッドホンやイヤホンで音楽を聴いた後に、耳鳴りがすることがある
  8. 耳の奥に痛みを感じることがある
  9. テレビの音が大きいと、家族や友人から指摘されたことがある
  10. 普段の喋り声が大きいと言われたことがある
  11. ヘッドホンやイヤホンで音楽を聞くときは、話しかけられても気付かないくらいの音量で聴いている
  12. 1日1時間以上、連続でヘッドホンやイヤホンを使っている
  13. ボリューム調節をしないまま、ヘッドホンやイヤホンを耳に当てて、突然大音量を聞き驚いたことがある
  14. 人から言われたことを何度も聞き返すことがある。聞き間違いが多いと感じる
  15. 右耳と左耳で聞こえが違うと感じることがある
  16. 耳が詰まったような感じがすることがある
  17. ヘッドホンやイヤホンで音楽を聴いた後に、耳鳴りがすることがある
  18. 耳の奥に痛みを感じることがある
  19. テレビの音が大きいと、家族や友人から指摘されたことがある
  20. 普段の喋り声が大きいと言われたことがある

チェック結果は以下のとおりです。参考にしてください。

  • チェックの数 0~2個 危険度20%
    今のところ、難聴の危険は低いようです。とはいえ、音の大きさに関係なく、ヘッドフォンやイヤフォンで長時間音楽を聴き続けると、耳はダメージを受けてしまいます。連続で1時間半以上のヘッドフォン・イヤフォンの使用は避けましょう。また、1時間連続で使用した場合は、5~10分以上は耳を休ませるよう心がけてください。
  • チェックの数 3~5個 危険度40%
    難聴の危険が少し高いようです。ヘッドフォンやイヤフォンをしていても、人と会話できるくらいのボリュームに調節しましょう。たとえ小さな音でも、1時間連続で使用した場合は、5~10分以上は耳を休ませてください。聴力の老化は早い人で30代から始まりますが、ヘッドフォンやイヤフォンの常用が老化を加速させることにつながります。難聴を予防するためにも、音量や時間に気をつけましょう。
  • チェックの数 6~8個 危険度70%
    難聴の危険がかなり高いようです。もしヘッドフォンやイヤフォンを使用した後に、耳鳴りがしたり、耳が詰まったような感じがしたりするなら、早めに病院を受診してください。聴力は一度悪化してしまうと治療は難しくなってしまいますが、早期の段階であればあるほど治る可能性は高まります。できるだけ耳を休ませて、医師の指示に従いましょう。
  • チェックの数 9~10個 危険度90%
    ヘッドフォン・イヤフォン難聴の危険が非常に高いです。すぐに病院を受診しましょう。症状が軽い場合は薬を飲んで治療しますが、重症化すると回復が見込めない場合もあります。ヘッドフォン・イヤフォンの使用を止めて、テレビやラジオの音なども小さくし、できるだけ耳に負担をかけないようにしましょう。睡眠不足やストレスなども聴力を悪化させる原因になりますから、生活習慣を見直すことも大切です。
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