さまざまな難聴と治療方法

ひとことで難聴と言ってもその症状も対応する治療方法もさまざまです。その症状と治療法について解説します。

伝音性難聴と治療方法

「耳のしくみと難聴の種類」でも説明したように、難聴は原因となる部位によって、伝音性難聴、感音性難聴、神経性難聴、混合性難聴に分けることができ、原因等によってさらに細かく分類することができます。
伝音性難聴は外耳から中耳にかけての「伝音器」つまり音を伝える器官の障害が原因で起こる難聴です。
耳垢のつまりや、中耳炎などが原因で発生し、聴力が低下する度合いも原因によって変わってきます。また、耳鳴りや耳閉塞感を伴う症状の場合もあります。
伝音性難聴は音を聞き分けたり、感じたりする器官には障害がないため、医学的な治療をすることで改善が期待できるといわれています。具体的には、何らかの原因で鼓膜に穴があいてしまっている場合は、人体用の接着剤を用いて鼓膜を形成する手術などの治療が行われています。

感音性難聴と治療方法

一方、感音性難聴は、内耳や聴神経といった「感音器」つまり音を感じ、聞き分ける器官の障害が原因で起こります。症状としては、一般的に、高い周波数の音が聞こえなくなってきます。電話の呼び出し音や体温計の電子音などが高い周波数の音の代表的なものです。また、全体にくぐもったような、はっきりしない感じに聞こえるようになります。また、小さな音は聞こえにくくなる一方で、大きな音はうるさく感じるようになってしまいます。さらに大きな特徴として、音に含まれる微妙な周波数の違いが分からなくなり、ぼやけたり、割れたり、歪んだりした感じの音に聞こえることがあります。それに伴い、言葉の違いが分りにくくなります。会話、コミュニケーションにとって最も大きな影響がある症状だといえます。有毛細胞が全体的に損傷していくことによって起こるため、多くの高齢者にはこの症状があります。ただし、有毛細胞は20歳をピークに数十年かけて徐々に損傷していくため、言葉の聴き取りも、少しずつ落ちていきます。したがって、ほとんどの高齢者には、自分の言葉の聴き取りが悪くなっているという自覚がありません。
蝸牛の中にある有毛細胞は、一度ダメージを受けてしまうと、現在の医学では再生することは難しいため、感音性難聴は医学的な治療は困難だと言われています。

感音性難聴の主な治療方法としては、補聴器や人工内耳などがあります。補聴器の技術の進歩には目覚ましいものがあり、使う人の聴力や周囲の環境に合わせて音声をきめ細かくデジタル処理することで、騒がしい場所でも話し相手の声をよりはっきりと届けてくれる機能を持った製品が主流となっています。また、テレビや携帯電話の音声を直接補聴器で聞くことができたり、使用する環境で聞こえ方を切り替えることができたりといった付加機能を搭載した器種も数多く登場しています。補聴器は、単に聞こえをサポートするだけでなく、毎日の生活をより豊かにするためのツールとして活躍の場を拡げています。

加齢性(老人性)難聴の予防方法

感音性難聴のひとつである加齢性(老人性)難聴は、誰にでも発症する可能性があるのですが、医学的な治療は困難だとされています。ただし、加齢性(老人性)難聴を悪化させる原因がいくつか明らかになっています。原因に対する対策を取ることで、聴力の低下を防ぐことができるかもしれません。加齢性(老人性)難聴を悪化させる原因として、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、喫煙、過度な飲酒、騒音などがあげられています。また、糖尿病があると加齢性(老人性)難聴を悪化させることが全国規模の調査であきらかになっています。
動脈硬化や高血圧などの生活習慣病があると、内耳や脳の血流が悪化し、聴覚機能に悪影響を及ぼすともいわれています。喫煙やアルコールのとり過ぎは、動脈硬化や高血圧に深く関係しているため、特に注意が必要です。これらの原因を取り除くことが、加齢性(老人性)難聴の予防につながります。
また、騒音などは体の中に「酸化ストレス」を増加させ、正常な細胞の組織を壊してしまうため、難聴を起こしやすくするという考え方も唱えられるようになっています。

その他の難聴と治療方法

突発性難聴
ニュースなどでも話題にのぼることの多い突発性難聴の治療方法としては、さまざまな方法が検討されていますが、残念ながら、どのような治療法が最も有効であるかはわかっていません。
一般的な治療方法としては、安静にしてステロイドを投与するのが基本とされていますが、循環改善薬、ビタミン製剤などを併用する場合もあります。いずれにしても、突発性難聴の治療は発症後一週間以内に始めるのがポイントとされています。

急性低音障害型感音難聴
急性低音障害型感音難聴は、従来は突発性難聴の1つと考えられてきましたが、現在では病態の異なる別の病気とされています。急性あるいは突発的に耳閉塞感、耳鳴り、難聴などが生じ、めまいは通常ありません。治療としては、代謝賦活剤やビタミン製剤、利尿剤、ステロイド剤などを用います。自然経過にて難聴が良くなる方もいます。

メニエール病
メニエール病は、回転性(ときに浮動性)のめまいを反復する病気ですが、耳鳴り、難聴、耳閉塞感、聴覚過敏などの聴覚症状も合併します。聴覚症状は、めまいの前に起こる場合、同時に起こる場合、後に起こる場合があります。治療として、規則正しい生活(睡眠不足の回避)、ストレスの軽減などの生活指導を行います。薬物治療として、利尿剤、血流改善剤、ビタミン剤、ステロイド剤、抗めまい剤、安定剤などが用いられます。重症のめまいに対しては、適応を十分に考えながら内リンパ嚢手術、前庭神経切断術が行われます。水分摂取治療、有酸素運動の有効性もわかってきました。


上記以外にも多くの難聴が存在します、どのような症状であっても、治療に際しては自分で勝手に判断するのではなく、耳鼻科の専門医に相談する必要があります。


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